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自分の家を建てるつもりなんてなかった私が、岩手に移住しマイホームをもった理由

morinone

morinone (インタビュー記事)

岩手郡 雫石(しずくいし)町。岩手の雄大な自然に抱かれたこの場所で暮らす、女性が本日の主役です。長く東京に暮らしていたMさんはある時、これまで全く縁がなかったという岩手との二拠点生活をはじめました。その後、岩手県(遠野市)に移住をし、この度、雫石に15坪の母屋と4坪のアトリエからなるマイホームを建てられました。

テレワークで東京のお仕事もこなしながら、岩手でも新しいコミュニティをつくり精力的に活動されるMさんに、「岩手への移住を決めたきっかけ」そして「自分の家を持つことを決めた理由」を伺いました。

「土の上に住みたい」。山の中で馬と暮らす生活からはじまった二拠点生活

「東京以外でも、暮らせるんじゃない?」―。東京で住んでいたマンションの築年数が古くなり、このままここに住み続けられるんだろうか…という不安がよぎるようになったころ、ふとそんなことを思ったんです。

ずっとマンション暮らしだったので、緑を感じられるような土の上に住みたいという思いがあり、関東近郊で理想的な暮らしができる場所を探し始めました。そのときに、ある方から岩手県の遠野にある住宅を教えていただきました。山の中で馬と一緒に暮らせる、とても素敵なところでした。

もともと岩手どころか東北とはほとんど縁がなかったのですが、お試しのつもりで山の中にある家を借りてみたんです。

でも、山の中は厳しかった…(笑)。

本当に周囲には何も無い森の中にある家だったので、周りからも「一人で住むのは危なすぎる」と言われ、結局1,2ヶ月で断念しました。その後は遠野市の町の中にアパートを借り、東京と遠野の二拠点生活をしばらく続けていました。

岩手の冬の寒さをなめちゃいけない

田舎に移ってのんびり…そんな暮らしをイメージしていたはずが、岩手に来てからの私はもしかすると東京に住んでいたとき以上にアクティブかもしれません。新しくできたお友達と一緒にマルシェをしたり、東北の色々な場所を巡ったり、お仕事を頼まれたりするようにもなりました。

こちらでの暮らしを満喫していた一方で、一つ困ったことがありました。それが、とにかく「冬が寒い」こと。私が住んでいたのは賃貸アパートだったので、断熱などもあまり気を使われていなかったようで、ストーブをつけていてもとても寒いんです。

家の中の温度はマイナス。寝る時も頭が寒すぎて帽子を被らないと眠れないし、足もひどいしもやけになり、靴下を何枚も重ねていました。

「いずれ古民家をリフォームして住みたいな」と考えていたのですが、古民家も寒いという話を聞いてしまったんです。それに、よく考えると、古民家は一人で住むには大きすぎます。

そして「温かい家に住むなら、自分で家をつくるしかない」と考えはじめました。

地域のことを知り尽くした地元の工務店に建ててもらう

家づくりを考え始めたものの、遠野ではなかなかいい土地が見つかりませんでした。そこで少し足を伸ばして森の音さんのコンセプトハウスにも何度かお邪魔させていただきました。

もともと木の家が良いと思っていた中で、森の音さんのデザインもとても気に入りました。櫻田社長とお話をさせていただいたり、雫石への移住を考えている人のためのお試し住居に泊まってみたりして、なんだかなんだ一年くらい悩んだ結果、ここで建てることを決めました。

家づくりを考え始めたころから、「地元の工務店さんに建ててもらおう」ということははっきりと決めていました。気候も文化も地域によって異なり、そこに住んでいる人にしか分からないことがあるからです。

特に岩手に移住しようと思うなら、季節のいいときに家探し・土地探しをしてはダメですね。冬にどれくらい雪が入るのか、除雪がどのように入るのかなど、外から来た人では全く分かりません。同じ岩手でも、遠野と雫石では雪の降り方や積もり方も全く違うんです。

その場所に実際に住んでいる人たちにたくさんアドバイスをいただけたことで、良い場所に良い家をつくることができました。

ちなみに、私の家づくりの第一条件は「暖かい家」。今の家に住み始めてからは、家の中が本当に暖かくて、これまでとの違いに驚いています。実際に寒い家と暖かい家を両方体験したからこそ分かることですが、暖かいというだけで冬場の稼働やストレスの感じ方が全く違います。

皆が気軽に集えるような場所にしていきたい

母屋の隣には、4坪のアトリエがあります。ここでは絵を描いたり、ちょっとした制作をしたりするときに使っています。今後は庭に畑も作っていきたいと考えているので、土足で入って何かできるようなスペースが欲しかったんです。

「靴を脱ぐ」というのはちょっと面倒で、自分の家でも他人の家でも、そこに1つ敷居ができてしまいます。靴のままフラッと入れる場所があれば、ご近所の方が集まって、ちょっとお茶を飲んだり、ご飯を食べたり、そんな気軽に立ち寄れる場所になるのではないかなと思っています。。

ここでマルシェも開催する予定です。遠野に住んでいた頃に仲良くなった方々が集まり、雑貨や古道具、お菓子や、コーヒーなど色々なお店が出展します。

伝統工芸に興味を持つようになった

今はわらじづくりを習っています。移住前は、陶芸やパン作りをやりたいと思っていたのですが、実際に岩手に来てからは、その地域ごとの手仕事の民芸品に心が惹かれるようになりました。布も漆器も、どれも素敵なものばかりです。

私がわらじづくりを習っているしゅんいちさんというおじいさんは、今年94歳。ご高齢ですがすごくしっかりしていて、わらじを編むのも速いんです!ずっと手を動かしているから、ボケないのだと仰っていました。

方言が強いので何を話しているのか分からないことも多いですが……(笑)、昔の話を聴きながら並んでわらじを編む時間はとても楽しいです。こうやって、いろんな方々と関わりを持っていくことが大切なんだろうな、と感じる日々です。

森の中に静かに佇む母屋とアトリエは、これから庭づくりがはじまります。

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